![]() 「エコロジカル・テロリスト」 fromAlbum「水中物語」 英国ロック専門誌NMEで毎年発表される リーダーズポールはその年の旬を知る意味で かつての私にとって大きな指標でした。 そんな中、1987年聞いたとこもないバンド名が 読者選定では無く、クリティックスズ(=批評家) ポールで挙がりました。 パブリック・エネミー? 「YO! ・BUM ・ラッシュ・ザ・ショウ」 ? 捻くれ者の多い英国でパンクの洗礼を受けた 批評家達がニューヨークで局地的に盛り上がった 不穏な動きにいち早く飛びついたことに、 納得したのは後日でした。 パンクの灯火も廃れた当時でしたが、 1990年導入された天下の悪法「人頭税」反対で、 ポール・ウェラーやジュリアン・コープ、 ビリー・ブラッグなどが参加したレッド・ウェッジの ムーブメントを知り、まだまだ英国ではロックが 反体制として機能していることを思い知りました。 一方日本はバブル最盛期。 MCハマーやボビー・ブラウンなどヒップ・ホップは 未だディスコ文化の一部だった気がします。 パブリック・エネミーは短期間で驚くべき進化を 遂げたヒップ・ホップ・グループでした。 リーダーのチャックDも加わったボム・スクワッドという プロデュースチームがそのサウンドを支えていました。 そのサウンドを一言で表すと「凶暴」。 1st「YO! BUM ラッシュ・ザ・ショウ」は 初期サンプラーモデルをフル活用。 ビートはJB、上物はハードロック中心に貪欲に 呑み込みノイズを吐き出したようなサウンド。 かつて聴いたことの無いような音楽が突然変異で 現れた気がしましたが、今改めて聴くと オールドスクールマナーかつ初期デフジャム臭さが 漂う曲もチラホラありました。 そんな中でM7「PUBULIC ENEMY NO.1」は、 今聴いても群を抜いたオリジナリティを獲得した ナンバーだと思います。 イントロのスクラッチから入った音の波形を グチャグチャに弄くることで、生き物のように蠢かせ、 邪悪かつ予測不能、底無しに下へ下へ落っこちていくような スリリングなサウンドを体感できます。 そして特筆すべきは、この特異なサウンドを 大きなグルーブを持ったビートにかぶせ、 曲最後まで押し通してしまうその根性です。 そこへ道化役フレイヴァー・フレイブからの 語りかけに応じたチャックDの 野太くヘヴィなラップが、 駄目ラッパー共を蹴散らすとともに、 “パブリック・エネミーが一番”と 宣言してしまうのです。 以前、川崎クラブチッタでの彼らの来日公演へ 行きましたが、サウンドとラップもさることながら、 一番印象に残ったのはそのステージング、 その中でもパブリック・エネミーの親衛隊S1W (the Security of the First World)のカッコ良さでした。 軍隊もどきを“カッコ良い”だなんて不謹慎と思いつつ、 そのパフォーマンスには目を奪われっぱなしでした。 彼らの代表曲「Fight the Power」のPVで街を練り歩く メンバーに随行するS1Wもこれまたカッコ良いの一言。 ついでに付加えさせて戴くと、1stジャケもカッコ良く、 トップDJ4人組チーム、エクスキューショナーズの 2ndアルバムジャケットでもジョーク抜きで まんまパロられています。 初めて見た時“俺だって真似してそこに写りたい!”と、 思ってしまったのを憶えています。 1st、2nd、3rd と息つく暇無い進化を遂げましたが、 プロフェッサー・グリフのユダヤ人差別発言からケチがつき、 “メンバーはドラッグだけで無く酒・煙草もご法度”という 厳しい内部規律があったにも拘らず、フレイバー・フレイブの ドラッグ使用が表面化し、やがてDJのターミネーターXが 脱退するなど、内部から徐々に綻んでいきました。 彼らの3rd「FEAR of Black Planet」発売時、 米国の最新の話題としてニュース番組で取り上げられている模様が、 そのまま日本のニュース番組で報じられていた記憶があります。 私は一番好きなのですがそんな3rd以降も、 我らが兄貴チャックDは踏ん張り続けてくれました。 目立った動きとしては、スパイク・リー監督作品 「He Got the Game」へのサントラ提供や、 「Bring the Noise」をスラッシュメタルバンド アンスラックスとセルフカバー共演、 そして今ではリングトーン(=着メロ)で当たり前に なりましたが、彼らはかなり早い段階から、 作品のメジャー配給を止め、インターネットでの 音楽データ配信をしていました。 ただし当時PC処理能力が今より低かったため、 データ受信時間がかなりかかるとの噂を聞きました。 確かパブリック・エネミーが最も勢いのあった頃、 日本では1冊の本が話題になっていました。 広瀬隆 著の「危険な話」です。 原子力発電所の安全性の問題、それに絡んだ 政治と企業のカラクリが暴かれていました。 今思うと、Rゴアの「不都合な真実」のような “煽り”混じりの社会危機警告本ですが、 当時ウブだった私は、これを真剣に受け止めました。 「水中物語」収録の「エコロジカル・テロリスト」は、 前後のストーリーを省き、“原発から盗み出した プルトニウムをトレーラーに乗せて東京へ突っ込んでいく” という状況のみを切り取った歌です。 月日が流れ、社会や経済の仕組みを知り、 当時より冷静な視点を持った私は 未だ明確な答えを出せないままですが、 数多の日本人ミュージッシャンが避けて通る 攻撃的かつ社会的なメッセージを含む“歌を作る” という一つの答えを出したつもりです。 「エコロジカルテロリスト」 プルトニウムを 目一杯 積み込んだ 大型トレーラーに 乗り込んで 東名高速を 西から東へ ぶっ飛ばす ぶっ飛ばす ぶっ飛ばす 金と引き換えに国中の僻地に危険を押し付けて 東京はその恩恵の上にあぐらをかいている 激しい雨が降る 水シブキをあげて ハンドルを切る バックミラーに 政治家と金持ちの 犬どもの影がそこまで 迫ってる 迫ってる 迫ってる 向き合え 逃げるな さあこれから じっくり拝んでもらおう 向き合え 逃げるな さあこれから じっくり拝んでもらおう |
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